今日のテーマは、東欧はなぜ美人オペラ歌手を大勢生み出すか、です。
そんなこと分かる人いるかな。それなのに、あえて、なぜ、そんなことを考えたか、というと、こんなわけがあります。
クラシック音楽の専門チャンネル「クラシカ・ジャパン」には、「ポートレィト」と題する、音楽家の生い立ちからその活躍を紹介する一連の番組があります。
その中のひとつ Elina Galanca の「ポートレィト」を見た時に、非常に感じたことがありました。彼女は、子供の頃は、演劇も俳優志望でした。
ところが、彼女の両親は、どちらも声楽の音楽家で、母親は、vocal music teacher で、Elina を、2歳の頃から、自分の lesson の場に連れて行っていたそうです。Elina は、おとなしい子で、何時間でも飽きずに、lesson を聴いていたそうです。そして、自分も歌手になりたいと言い出した時、母親は、女性がその道で、プロとして生きていく厳しさを知っていたので、猛反対しましたが、Elina の意思は固く、20歳の時に、ラトビアの音楽アカデミーに入学しました。この documentary 番組で、彼女がくり返し語ってのは、声楽教師の重要性でした。そして、さらに、次の画面のようなことを語っています。
オペラ歌手が、コンピュータの制御で歌うなどとは、信じれないでしょう。
もちろんこれは喩えですが、私の知るところでは、vocal training というのは、ものすごく科学的なのです。「現代の」という受け加えがいるかもしれませんが。特に横隔膜や呼吸筋をどう使うか、というのが科学的に研究されています。
ということで、思い出したのが、旧東ドイツが、あの頃の Olympics で、水泳、陸上などで、金メダルを独占したことです。そして、それは、スポーツ科学研究所における科学的研究による、科学的トレーニングがあったことがあきらかになりました。その結果、世界各国で、スポーツの各分野での科学的究明が進みました。プロ野球の世界でも、肩は消耗品だといって、100球を超えると、交代するという現象が起きています。あれの科学的根拠はあったかな。
旧ソ連圏では、スポーツ選手は英雄化され、また、優れた芸術家は、人民芸術家の称号を与えられ、生活も保証されていました。第二次大戦終了後、直ぐ、ドイツ軍によって破壊された当時のスターリングラード(現レニングラード)で、人民の住宅より、劇場の建設を優先させたのは有名な話です。一方、愛知県では、終戦後の初代民選桑原知事が、県美術館(現在の美術館の前身)と、県立芸術大学を設立した時、検問の住宅の方が先だ、と猛烈な批難を浴びました。何の違いでしょうか。
というような諸事情を考えると、旧ソ連圏の国々では、スポーツや芸術の分野で、その技能の科学的研究が進んでおり、それに基づいた、科学的とレーニンが行われていた、と考えるのは、どんなもんでしょう。
そういう科学的とトレーニングでは、もって生まれて才能もあるでしょうが、才能よりも、それに基づいた訓練がものを言います。Galanca も、寝て歌ったり、逆立ちで歌ったりという猛訓練を繰り返したと、語っています、そして声域を一オクターブ半広げるのに一年かかった、とも語ってます。そして、その話の最後に「思えば気の長い話です」と付け加えています。
一方、イタリアの生んだ名歌手たちを、見ていると、なんとなく、生まれながらの名歌手という感じがします。Pavarotti など、あの輝かしい高音で歌いながら生まれたのではないかと、思ってしまいます。だから、いくら飲んで食って、太っても平気なのです。
一方、苦しいとレーニングで、美声を獲得した歌手は、節制して、体型を保ち、いつまでもトレーニングを怠らないので、太るひまがない、と私は考えるのです。
このところ紹介した東欧圏出身の美人歌手たちは、全員自国の音楽院で歌手としてのトレーニングを受けています。
もうひとつ東欧圏出身の歌手に共通することがあります。Netrebko 以外の歌手は、世界的に上演される自国語のオペラ作品がありません。世界の歌劇場で歌うには、イタリアオペラ、フランスオペラ、ドイツオペラを歌わなければなりません。彼女らに共通するのは、殆ど全員がイタリアオペラとフランスオペラが歌えます。Galanca は、ドイツ語のオペラも歌います。一方イタリアのソプラノ歌手は、イタリアオペラしか歌えない人が殆どです。
このあたりの事情、東欧圏以外の、旧西ドイツ、スペイン、南米、北欧、イギリス出身の歌手についてはどうなのか、また、別の機会に紹介します。
そこで、なぜ東欧圏から、美人歌手が多くでるか、を結論付けていえば、こんなことになるでしょう。
旧ソ連圏では、アスリートや芸術家が重んじられ、スポーツ、芸術の分野で、西側よりも、科学的トレーニングが、進んでいた。そこで、容姿がオペラの主人公にふさわしい人が、太っていなくても(そもそも太ってるオペラのヒロインはいない)、訓練によって、コンピュータのように正確に声をコントロールすることによって美声を獲得することが出来た。結果として、美人がオペラ歌手になれた。
こんなこと言ったの、私が始めてでしょうか。他に同じこと言っているひとがいたら教えてください。
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