2011年7月14日木曜日

私の名詞 Armchair Traveller の巻 11 ヨーロッパ水紀行

今日は、また、特別暑いですね。そこで、今日の armchair travel は、取って置きの「水紀行」です。
BS 日テレの長寿番組に、今は、「世界水紀行」となった、長寿番組があります。これは、「ヨーロッパ水紀行」として、2006年に始まったものです。第IVシリーズまで続いた後に、「世界水紀行」と名前を改め、その第一シリーズは、オセアニアで、オーストラリア、ニュージランド、第二シリーズはアメリカでした。第三シリーズは、アジアか南米でも行くのかと思ったら、また、ヨーロッパに戻りました。現在は、「世界水紀行ヨーロッパ編」として放送されています。正直言って、先のヨーロッパ水紀行と比べるとオセアニアやアメリカの水紀行は、面白くなかったですね。やはりそういう視聴者が多かったのか、ヨーロッパに回帰しました。
旅人は登場せず、初回から、日テレの人気アナウンサー延友 陽子のやさしい語りで進行します。
第三シリーズにある番組紹介文です。
人間にとってかけがえのない水、誰もが親しみを持つ水。水は集まって川となり、川の畔には古くから都市が建設され、文明が発達してきました。そうしたヨーロッパの都市には、何百年という歴史が刻まれて今日に至っています。
赤い屋根と白い石の壁など、ヨーロッパの街には中世の面影を漂わせた美しい風景が数多く残されています。水の畔にたたずむ街、そうした印象派の絵のような風景を求めて、水の文化を育んできた姿を求めて旅はつづきます。
長い歴史を刻んできた美しい街並み、またそこに住む人々の生活、その土地特有の料理など、ハイビジョン映像によって、あこがれの地ヨーロッパを旅して心を癒す、それが「ヨーロッパ水紀行」なのです。

ヨーロッパに住んだり、旅すると気がつきますが、この番組紹介文にあるように、「川の畔には古くから都市が建設され」ています。ドナウ川の畔には、ウイーン、ブタペスト、ベオグラードなどが、ライン川に沿っては、バーゼル、ストラスブール、マインツ、ボン、ケルン、デュッセルドルフ、ロッテルダムなど目白押しです。エルベ河流域には、プラハ、ドレスデン、ハンブルクが栄えました。フランス第二の都市リヨンは、ローヌ川とソーヌ川の合流したところに築かれました。パリは、セーヌ河畔に築かれたというより、セーヌ川が、パリ市内を貫いているという感じですね。
ロンドンは、テムズ川、モスクワはモスクワ川と、枚挙に暇がないほど、ヨーロッパの主要都市は、「川の畔」に建設されました。
ヨーロッパではないですが、アメリカ合衆国独立当時の13州の州都の多くは、川に沿って建設されています。首都がポトマック川の畔のワシントン DC に定められたのは、そこなら、各州から、水路で集まることができたからです。道路が完備していない時代には、水運による移動の方がはるかに便利だったのです。
アメリカで、自動車が発達したのは、西部開拓のための大陸横断は陸路に頼らざるを得ず、結果として道路が整備され、陸運のための馬車が発展して自動車になったのです。
日本でも、坂本龍馬のドラマなどを見ていると分かりますが、かっては、京都と大阪は三十石船で、水運で結ばれていました。『剣客商売』の小兵衛は、若い女房おはるの漕ぐ小船で、大川(隅田川の通称)を渡って、鐘ヶ淵の隠居所から、江戸の下町まで通ってました。 あの頃は、日本でも水運が盛んだったのでした。

  港というと、海に面した港しか思い浮かばないでしょうが、ヨーロッパでは、河の港が大きな河川に面した都市にはどこにもあります。更に、ライン河、ドナウ河という自然の大河川が、運河で結ばれ、ヨーロッパ中に張り巡らされた運河を辿れば、どこへでも行けます。
今の日本では忘れ去られた、人々の河川との深い結びつき、それが育てた文化、中世から続くそんな「水の文化」を辿る旅に、あなたも出てみませんか。暑い夏には、一服の清涼剤になるでしょう。それだけでなく、底深いヨーロッパの歴史に思いをいたすことでしょう。
淀川長治さんではないですが、「いやー armchair travel っていいもんですね」

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