Armchair Traveller は、昔から英語にあったのですが、Armchair Theater Goer は、私の造ったことばです。
Armchair Traveller が、armchair に座って、TV 画面での旅行番組を見ながら旅をするように、
Armchair Theater Goer は、armchair に座って、TV 画面で劇場での上演を見るのです。
TV 画面で、劇場での上演を見れるようになったのは、それも頻繁に見れるようになったのは、まだ、ここ2,30年のことですから、Armchair Theater Goer ということばが、昔からはなかったのは、無理もありません。
テレビ画面で映画を見る人は多いですね。放送されるものだけでなく、以前はビデオ、次には DVD、最近は BD を rental shop で借りてきたり、市販のされているものを買ってきて、自宅で見る人は多いですね。
私も映画も録画して見ます。映画は、本来「映画館」で見るものでしたが、ビデオや DVD/BD のお陰で家でも見るるようになりました。
「映画館」は、英語では、movie theater と言いますから、一応 theater ですが、舞台があって、そこで演じるものではありませんので、本来の theater ではありません。
私のいう Armchair Theater Goer は、舞台上演される performing arts を劇場へ行く代わりに、映像化されたものを armchair に座ってみる人のことです。映画をTV 画面で見る人は、couch に寝そべって potato chips を食べながら見るのが典型的なスタイルのようです。Couch potato 族と呼ばれています。たとえ armchair に座っていても couch potato 族と呼ばれるようです。
Armchair Theater Goer の見るものは、基本的に舞台で演じられる performing arts です。次のようなものがあります。
オペラ、バレー、ミュージカル、演劇、以上は西洋的なものです。
日本の伝統的なものは、
歌舞伎、文楽(浄瑠璃)、能、狂言、日本舞踊
これら以外にも、手品、漫才などがありますが、私がもっぱら見るのは、上記9つで、その中でも、能、狂言、日本舞踊は、あまり見ません(ということは、これらの録画作品は少ないということです。)
Performing arts は、本来劇場へ行って見るものです。それを、テレビ画面で見て「済ます」?のは、邪道?だという人もいますが、私の考えでは、Armchair Theater Goer ならではの楽しみ方もあるし、実演では、見れないものも見られるので、これはこれで、独立したりっぱん「鑑賞法」だと思っています。
そのことを感じたには、次のような逸話?があります。Laser disk が普及し始めた頃の話です。私の年代の音楽ファン(クラシック音楽ですが)なら、知らない人はない著名な音楽評論家に村田武雄という人がいました。演歌のファンなら別の村田武雄を思い出すでしょうが。
混同されないように、Wiki の紹介を引用しておきます。
長年、ラジオ番組『音楽の泉』の2代目進行役をつとめた音楽評論家。1950年代から1980年代にかけて、クラシック音楽に関する書籍などを多数執筆し、その普及につとめた。海外の音楽関連の書籍の翻訳なども手がけている。晩年は、音楽評論家の当時の代表格として数えられる存在だった。堀内敬三の後を受けてNHK番組音楽の泉解説者としても知られた。永井荷風と三田文学を通じて知り合い、親交があった。また、慶應義塾大学・国立音楽大学などでは、教授として音楽史について教鞭を執っていた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/村田武雄
そういう音楽界の大御所ですから、いろいろな音楽会に出かけ、最上等の席で鑑賞してみえたでしょう。それが、やはり人の子、よる年波で足腰が不自由になり、あの狭い劇場の椅子に長時間座っておれなくなりました。
ヨーロッパの劇場では、2回のバルコニーに、VIP 用の box 席があり、偉い人はそこでゆったり座って鑑賞することができますが、日本は、全員平等に、同じサイズの狭い椅子です。飛行機の economy class 並みの椅子と足幅です。あれに長時間座っているのは、年をとると苦痛になります。
そこで、村田先生も劇場へ足を運ぶことが減ったわけです。丁度その頃、日本のパイオニアが laser disk を発売し、欧米市場の販売促進のために MET や イギリスの Royal Opera と契約して、オペラの上演を録画し、LD で日本でも発売しました。そこで、村田先生、早速買い求めて自宅で LD による opera 鑑賞を始めました。Armchair Theater Goer の先駆けです。
その感想を、『レコード芸術』誌に、書いて見えたのを、今でもよく覚えています。先生曰く。
今まで舞台の実演を見ていて気がつかなかった。オペラ歌手が、歌うだけでなく、ちゃんと演技をしている。しかも、目の演技がすばらしい。
一応オペラの筋を知っていて、どういう内容のことを歌っているか、分かってはいたが、歌につれて、下に字幕が出るのを読んで、ああいうことを歌っていたのか、と初めて知ったことが一杯ある。
へえー、村田大先生にしてそうだったか、と、その時思いましたね。
それで、私も先生にならって、opera は、音だけの CD を買うのをやめ、『レコード芸術』で紹介され推薦される LD を買い集め始め,
先ずは、opera の Armchair Theater Goer になったのであります。
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