男なら女が好きなのは当たり前ですが、歌舞伎では、女の役も男性が勤めていますので、ちょっと複雑ですね。
そんなわけでもないでしょうが、男と思っていると、別に美人でなくても、芸さえよければ、それでよし、としたのでしょうか、
女形の容姿のことは、表立っては、とやかく言われてきませんでした。来ませんでした、というのは、最近ちょっと風向きが変わってきたようです。
それについては、また、後ほど。
歌舞伎の立女方としては、戦後は、六代目歌右衛門、七代目中村芝翫が全盛期で、歌舞伎の立女形を独占していました。これに六代目
澤村田之助が、加わっていました。
この時期は、丁度オペラ界で、Joan Sutherland, Montserrat Caballé, Renata Tebaldi、アメリカの黒人ソプラノ歌手 Leontyne Price, Jessie Norman, Martina Aroyo, Grace Bunbry などが、活躍していた時期と重なっています。これらの歌手は、LP/CD 時代にはよく登場していましたが、DVD 時代になったら映像の世界からは、姿が消えてしまいました。
そうしたら、あろうことか?Yahoo 知恵袋のサイトに、「アフリカ系の黒人オペラ歌手がいないのはどうしてでしょうか?」という質問がでていました。
多分質問した人は、DVD 時代にオペラファンになったひとでしょう。このあたりの事情興味ある方は、下記サイトを。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1135092181
なぜ、こんな話を持ち出したか、というと、上記三人の立女形の役者は、正直言って、歌舞伎の役の、可憐なお姫様や揚巻のような美女の傾城、男が魂を奪われるような、美形には程遠く、舞台で見ているときは、その芸や豪華絢爛たる衣装に見とれますが、テレビの映像でアップになると、まあ、機会があったら見てください。
そこで、私の好きな現在活躍中の立女形は、年の順に四代目中村雀右衛門(現在90歳です)、坂東玉三郎、そして、若手の尾上菊之助の3人です。これに、今の五代目中村時蔵を加えてもいいでしょう。なにしろ、わずか34歳で急死した先代の四代目中村時蔵は、生きていれば、玉三郎と人気を二分するはずの美貌の若手女形でしたから。その息子の五代目中村時蔵が、歌舞伎座閉場式の際、玉三郎と踊った「京鹿子娘道成寺」は、いずれ劣らずあでやかでした。
そこで話をもどして、中村雀右衛門です。私の年代の人は覚えていますか。戦後一時歌舞伎を離れて、大谷友右衛門の芸名のままで、映画界へ「佐々木小次郎」でデヴューしたことを。昭和25年です。私は、中学2年生だったと思います。映画館で見ました。格好よかったですよ。
しかし、昭和30年には映画界を引退。歌舞伎の世界に戻り、しかも、まったく姻戚関係のない中村雀右衛門を襲名したのです。この間の事情については、下記Wikiを参考してください。
復帰した頃の雀右衛門をテレビか舞台で見て、前記三人の女形と比べてあまりにも美しいので、一気にファンになりました。ところがですね、これは、今調べてもどこにも書いてないのですが、映画の世界では、大映や新東宝の専属となっていて、松竹とは商売仇でしたから、松竹歌舞伎の世界に戻っても長らく不遇の時代が続き、あまりよい役に恵まれなかったですね。私も悔しい思いをしていました。これは、私の邪推ですが、歌右衛門や芝翫が、嫉妬して意地悪をしたかも。ありえないことではないですよ。実は、歌右衛門と玉三郎も長いこと確執があったそうです。
しかし、そういう先輩たちが衰え始めると、雀右衛門も2001年には、日本俳優協会会長(〜08)になり、2004年には、文化勲章を貰い、90歳になった今でも元気に活躍しています。
今日は、私が最初にファンになった美形立女形四代目中村雀右衛門の話でした。
オペラも同じですが、好きな歌手や役者、特に女性歌手と立女役者ができると、オペラや歌舞伎が好きになります。
これは、男性ファンだけに当てはまることでしょうか。女性ファンなら、好きなテノールやバリトン、好きな立役者が決め手になるでしょうか。
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